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古くて新しい"土"

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「土壁」なんて、古臭いでしょうか?

確かに、新しいものではありません。でも、日本の家づくりを考えた時、ぜひ取り入れていきたいと強く思うのが「土壁」です。

皆さんの生まれ故郷はどこですか?地域によっては、まだまだたくさん土壁の家が多く残る所もあると思います。夏休みに故郷へ帰省し、ひんやりと澄んだ空気に触れ、心地良く感じたことはありませんか?

「エアコンの風」とは一味も二味も違った、凛とした清涼感、それこそ、まさに「土壁」のなせる技。私達が家づくりに欠かせないと思うのも、そんなところからなのです。

でも今、簡略化、工場化された画一的な家づくりの中で、土壁は失われようとしています。「そこにあるものを活かす」という素晴らしい日本の文化はまた一つ、人知れず消えてゆこうとしています。一度失われた文化を取り戻すことは、そう簡単ではありません。

土と人の手がつくり出すエコロジカルな日本の壁。環境を汚すことなく、もちろん人にも優しい日本の土文化。

いくつかの土壁の家づくりに触れてきて、その良さを実感してきました。

ひとつひとつの家づくりに、できれば取り入れていきたい日本の伝統です。



土壁の効果

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古い町並みに残る漆喰壁が情緒を思わせる蔵。大切なものを長く保管しておくためにと、昔の人がつくりあげたものです。

蔵とはまさに、土壁のさいたるものですが、なぜ壁に「土」を使ったのでしょうか?

それは・・・「土」は、「蓄熱性」と「吸湿性」、そして「断熱性」や「防火性」に大変優れているからです。

「土壁の家の室内環境は、温度が急激に上下することなく、
また年間を通じて40~60%の湿度に保たれている」という試験データがあります。40~60%という湿度は、人が心地良く、快適に生活できる湿度ということで、「快適湿度帯」と呼ばれています。毎冬大流行する乾燥を好むインフルエンザなどの病原菌が活発化せず、感染しにくと言われています。

梅雨から夏にかけての、じめじめした、人にも建物にも不快な季節、この季節に土壁はその威力を発揮します。そう、土壁の家はすなわち、高温多湿な日本の夏に最適な家なのです。

一方、「寒いのでは?」と皆さんが心配される冬場ですが、室温こそ人工素材の家に比べて低くはなりますが、前述の通り、湿度が一定に保たれ乾燥しないため、体感温度は温度計ほど低くなりません。

さらに、多くの人を悩ませる結露の問題。窓にびっしり発生し、ふき取った雑巾が絞れるほどに発生する結露。この結露に対しても有効なのが土壁なのです。ある実験では、外断熱通気土壁工法の家(土壁の外側に、透湿性のある断熱材を貼り付け、外断熱とする工法)は、壁の中の湿度が年間通じて40~60%に保たれ、100%を超えることがないため、結露はしないと結論付けています。



土壁の強さ

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まだまだあります土壁の強み・・・それは「強度」です。

まだ記憶に新しい新潟県中越沖地震の調査で、「2000年以前(2000年、木造住宅における柱頭柱脚・筋交の接合部、耐震壁の配置などの仕様が明確に規定)に建設された住宅は、壁量が大きく不足し、そのことが地震の被害に大きく影響した」というデーターが出ています。

地震による倒壊を防ぐためには柱や梁だけでなく、「壁の強度」を強くすることが重要だということです。

近年では、新しい規定によって「壁量計算」が義務づけられ、各階に必要な耐力壁をバランスよく配置する必要があります。耐力壁とは、「壁の長さ×壁倍率」という数値で表されますが、この「壁倍率」とは、130kg/㎡の荷重に対して、柱頭の変形量が階高の1/120を1とし耐力壁を比率で表したものです。

難しいことはさて置いて、ようは壁の強さの指標です。この指標において土壁は、従来は「0.5倍」という数値しか認められていませんでしたが、伝統工法の見直しをはかる研究者の試験データーによって、平成15年には「1~1.5倍」の壁倍率が認められました(30×90mmの筋交いを入れた壁=1倍)。

ある試験によると、30×90mmの筋交い+ホールダウン金物の使用で1.6倍、貫+土壁で1.74倍、貫+土壁+ホールダウン金物で2.64倍、筋交い+貫+土壁+ホールダウン金物で4.01倍の数値が出ています。

つまり、何を言いたいかというと、「土壁が耐力壁としても有効である」ということです。さらには、昔はなかった筋交の兼用で、より強固な耐力壁が期待できます。

以上のように、様々な効果のある土壁ですが、その前提としての良さは何より、自然素材そのものであること。つくる時にも廃棄時にも、何も汚さず、何も壊さない「土」という素材を、職人の技術によって家の壁にした「土壁」。

湿度を上手くコントロールすることで、無駄に冷暖房をつける必要もなく、かといって何の我慢もいらない快適な居住空間を、土壁なら実現できます。まさに、次世代の省エネ型住宅だと思いませんか?

残念なことに、この素晴らしい土壁の技術は、手間と技術を排除する住宅業界にいて、少しずつ衰退しています。でもまだ今なら、あなたの家を土壁にすることは、そう難しいことではありません。